
前の記事
建築・内装現場において、養生作業は重要なプロセスの一つです。建材や設備を傷や汚れから守り、施工品質の確保に直結する工程である一方、手間や時間がかかる作業でもあります。しかしながら、適切なテープの選定や作業フローの見直しを行うことで、作業効率を大幅に改善することが可能です。
本記事では、現場でよくある非効率の要因を整理し、養生作業を効率化する具体的な5つの方法を解説。テープの選び方やおすすめ製品を紹介します。
目次
床や壁、ガラス面など、貼る対象に適していないテープを選んでしまうと、貼り直しや剥がれが頻発し、作業時間が増加する原因になります。最悪、施工面を傷つけたり糊残りが発生したりすると余計な手間とコストが発生します。
屋外現場では気温や湿度、雨風の影響を強く受けます。特に夏場の高温や冬場の低温下では、テープの粘着性能が変化し、貼りつきにくくなったり剥がれ落ちやすくなったりすることがあります。
テープを貼る際に手で切りにくかったり、粘着力が弱すぎるとせっかく貼ったテープが剥がれ落ちて貼りなおしたりと余計な手間がかかります。またテープの強度が弱いと、剥がす途中でブツブツと切れてしまい、イライラしながら剥がし直す…といった手間も発生します。さらに粘着力が強すぎるテープや貼る対象に適していないテープを貼ってしまうと糊残りが発生したり施工面を傷つけ汚染するリスクもあり、工程外の作業が発生する原因になります。
養生テープの基材は、PEクロス、エンボスフィルム、不織布、PETなどがあります。ベースとなる素材によって質感や切りやすさ強度の違いなど特性が異なります。また粘着剤もアクリル系やゴム系など用途により設計が異なります。貼り付ける対象物の材質や環境条件を考慮し、適切な粘着剤や粘着力と素材の養生テープを選ぶことで、貼り直しやトラブルを回避できます。
表面の凹凸や埃の有無によって、テープの貼りつき方は大きく変化します。布テープと比較し養生テープは、粘着剤を塗布している厚みが少なく追従性に劣る為、凹凸があるアスファルトなどではテープとの接地面積が少なくなり、貼りつきにくくなります。
また貼ってはいけない相手、相性のよくない素材や場所もあります。注意書きなどによく記載されているものとしては、塩化ビニル(塩ビ)・無垢材・大理石・車のボディーなど。
貼り付ける下地の状態や相性を把握することで、テープの性能を最大限に発揮できます。
糊残りが発生してしまうと、清掃作業や手直しに多くの時間を取られます。貼る相手(被着体)や用途に合わせ、適切な養生テープを選定することで作業負担を軽減できます。
もしも糊残りが発生してしまった場合には、市販されているシール・ラベル剥がしスプレーを吹きかけてこすり落とすことが可能です。
高所作業や狭所での作業時に、ハサミやカッターが不要な手切れタイプのテープは非常に便利です。簡単に切れることで作業のスピードと安全性を両立します。
テープは、涼しい場所での保管が必要です。気温の高い夏場の車や倉庫の中などで保管すると形状変化を起こしやすく、本来よりも粘着力が強くなったり弱くなったりと性能が変化することがあります。
当社ダイヤテックスでは、用途に合わせた8種類の養生テープのラインナップがあります。
品名・品番 | 基材+粘着剤 | 特徴 | 用途 |
塗装・建築養生用 Y-09-GR/Y-09-CL |
PEクロス+ |
基材の中にバイオマスプラスチックを10%配合 | 風や砂埃の多い屋外でもしっかり貼れる強い粘着力 |
建築・引越し養生用 Y-09-SB |
PEクロス+ アクリル系 |
ステンレス材料にも再剝離性良好 | 引越し養生などの内装養生 |
床養生用 Y-06-WH |
PEクロス+ アクリル系 |
床養生に特化した設計 | 住宅、体育館、イベント会場の床養生 |
内装・リフォーム用 Y-05-SK |
PEクロス+ アクリル系 |
フィルム基材より破れにくく剥がしやすい | 床養生やリフォーム工事向け |
内装養生用ゆかり™ Y-07-V |
PEクロス+ アクリル系 エマルジョン |
低VOCのエマルジョンタイプの粘着剤 | 公共施設などの内装養生 |
微粘着養生用 Y-03-BL |
PEクロス+ アクリル系 |
糊残りの少なさを追求 | ガラスやアルミ建材の保護など |
屋外養生用 M-08-SW |
PEクロス+ アクリル系 |
紫外線劣化対策品 | 屋外環境での長期間の貼り付け |
硬質塩ビ養生用 ES-07-GR |
PEクロス+ ゴム系 |
硬質塩ビ製品に糊残りしにくい | 樹脂・アルミ系サッシの養生 |
養生作業の効率化はテープの性能選びだけでなく、用途や使用場所や環境まで含めた総合的なアプローチが必要です。
養生テープは、どこにでも貼って剥がすことができる万能テープではありません。
用途に合わせて使い分けることで、作業品質もスピードも大きく向上します。